臆病なサイモン
(「ダチンコ」に、ちょっとは近付いてんのかな…)
『「オトモダチ」なんかに、興味はない』
ダンゴはそう、断言したけど。
(…でも、さ)
ダンゴはどうでもいい相手に「涙」なんて見せるようなタイプじゃない、って、なんとなく解る。
ダンゴの「傷口」はとても穏やかだったけれど、それでもぎゅうと心臓を握られる痛みに変わりはなかった。
それは、俺以上にダンゴが辛かったということだ。
それはめちゃくちゃ感謝しなきゃならないってことであって、きっとダンゴは、俺とフェアであろうとして、話してくれたんだろうから。
『…願うなら、それは』
いつもの見慣れない表情や、ダンゴ自身の口から聞く、「傷口」。
悲しくて重くて切ないそれを、俺に見せてくれたということが、とても嬉しかった。
だって、この場所で、この時間、きっと俺しか、こんなダンゴ、知らない。