臆病なサイモン
「サイモン」
そんなこと考えてたら、スクリーンにはエンドロールが流れてた。
いくらパチもんとは言え、ホラー映画を、ラストまで鑑賞するとはまさか思ってもみなかった。
夢に浮かされているみたいにぼけっとしてる俺に、ダンゴは、にやぁと笑みを向けた。
え?
て訊く前に、ダンゴが口を開く。
「学校近くの土手に、行こ」
まだ昼過ぎ。
陽射しが強いような気もするけど。
「高架線下で涼めばいいんじゃない」
あ、ナイスアイデアー。
さすが先輩はちがうわ。
ホラー映画のエンドロールを背景に、俺はダンゴのナイス提案にはっきり応えようと拳を握る。
よしキタ、って、勢いよく口を開けた瞬間。
『キィアアアアアアアアアアアアイアア――――ッ!』
大スクリーンから響く、サプライズホラー。
「っ!」
当然の如く、その有り難くないサプライズにチビりそうなくらいビビった俺は、それでも震えながら叫んだ!
だってそれが、オトコってもんだろ!?
「よちキタ、まかてろ!」
…俺には言う資格もなかったみてーだけど。