臆病なサイモン






「…すげ、昔の話なんだけどさ」

空は言い表せられないほど綺麗なのに、空気は人間を蒸してしまうほど熱い。


「俺がまだ、そこで遊んでるチビ達よりチビかった頃、」


俺は額に滲む汗を拭ってから、ゆっくりとダンゴと向かいあった。

聞いてくれよ、ダンゴ。

そんで、叱って欲しい。





「すげぇ大事なこと、言われたんだけど」


未だ、思い出せない「大切な宝物」。

一体それはどんな言葉で、どんな想いが詰まっていたのだろうか。

当時、俺に墨を被らせた原因である「父親」が、洩らした言葉。



「…うん」

俺の掠れた言葉を消さないように、ダンゴが囁くように頷いた。

その声の小ささに、自分の話す言葉がそれよりずっと小さくて、震えていることに気付く。


ダセェ…。

でも、聞いて欲しい。







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