臆病なサイモン
―――しまった。
ハッ、と気付いて顔を上げた時には時既に遅し。
ダンゴはいつもの無表情な…じゃなくて、真摯な顔で俺を見てる。
「オトウサン、て、言えば」
ほら、やっぱツッコまれた。
これじゃあ、「オトウサン」て呼びたくて呼びたくて仕方ないみたいじゃね?
…俺は無性に恥ずかしくなって、視線を逸らした挙句、口を閉じてしまった。
『…悪かった』
ダンゴから視線を外した瞬間、傷付けた「あの人」の顔がやけに鮮明でリアルにリプレイされる。
どうせならリセットしたいシーン。
しかもセーブしたつもりもないのに、勝手にロードされる最悪の脳内ゲーム。
そんなクソゲーのコントローラーであるダンゴは、黙りこくった俺の代わりに口を開いた。
あの、いつもの無表情で。
「…サイモンは、私になにを期待してるの?」
…WHAT?
飛び出た言葉は辛辣で、完全に予想外。
ダンゴの眉は、心底から理解できないと言いたげに顰められている。
コワイ。