臆病なサイモン
どうしよう。
(……ダンゴがなに考えてるのか、本気でわかんねえ)
どうして、こんなことになったんだろう。
なんで俺、今、こんなところで、ダンゴにグチャミソにされてんだろ。
「君が軽々しく口にする「ダチンコ」や、君のコンプレックスで散々傷付いてきた「お父さん」を、これからも傷付けて生きていくの?」
真っ直ぐな眼が、猛烈に、俺の中心を貫く。
俺は、言わなきゃいけないことが、ある。
確かにそれはあるのに、喉に想いの塊が詰まったみたいに苦しい。
…頼むから聞いてくれよ、ダンゴ。
俺は。
「―――そうだよね。君の「お父さん」は、本当の「お父さん」なんかじゃないから」
どれだけ傷付けたって、君は痛くも痒くもないよね。
俺は、そんなこと。
「…っ、違う!」
―――バチンッ。
猛烈な勢いで動かされた腕が、なにか柔らかいモノを打った。
でもそれがなにか、なんて、理解してる余裕もない。