臆病なサイモン
左の頬との対比が、痛々しい。
こんな事態初めてで、なんかもうどうしたらいいのかわかんなくて。
「…ど、どうし、よ」
パニクったまま、湿った手の平をダンゴの頬に当てたりして、そのサイズの違いに尚更パニクって。
あああもうっ!
手の平なんか当ててなんの意味があるんだっつう―――。
「…呼べたね」
ふふ。
その時、手の平が触れた頬から、そんな優しい振動が伝わってきた。
「……、」
ぎゅう、と、把握しきれていない筈の俺の心臓が、切なさに締め付けられて。
呆然とする俺の、頬に当てたまんまの手の平を、包むように、ダンゴに掴まれて―――。
「そうだよ、それでいいんだよ」
さっきまで無表情で俺を責めていた顔が、よくやった、なんて、笑って。
『―――俺のオヤジは、』
ぽろり。
その笑顔が、自分の叫び声が、涙が。
(サイモンは、流れ星になにを願うの?)
そんなおふざけにマジになって、流れてもいない星に本気で願ったのは。
『……また、あの人を、「オトウサン」て、呼びたい』
涙が、止まらない。