臆病なサイモン
「…いいじゃん。わざわざ確認することじゃないし」
知っているのに、なにも出来ない無力な俺。
「…放っとこうぜ」
にっこり笑って、回避させるしか出来ないんだ。
ダチンコの興味を他に反らして…それくらいしか、してやれないなんて。
『ばかだよね…』
あの温かな涙を、知っているのに。
(―――俺、いつかダンゴに返せるのかな)
それは形には出来ないようなものばかりだったけれど。
(いつか、返せたらいい)
ダンゴのおかげで、たくさんのものを、覚悟を、得ることが出来たから。
「ニンゲン」に、進化出来たなら、「ヨウチュー」時代よりもっとたくさんのことが、これから先もたくさん見えてくるんだろう。
俺はどっか視野が狭くて、バカだから、多分、傷付いてばかりなんだろうけど。
(……気張らなきゃ、ダンゴに顔向けできないから)
がんばれ、サイモン。
がんばれ、俺。
―――なんて、な。
やっぱなにも知らなかったこの時のバカな俺、今すぐシネ。