臆病なサイモン
* * *
「にいちゃん!」
怒涛の出校日を終えて家に帰ると、何故か、「よくやった」ムードで迎えられた。
先手きってセンセーが電話しててくれたらしい。
俺は「ダチンコを体張って庇った英雄」扱い。
なにこれ、棚ぼた?
「…ただいま」
父親…も、珍しくシフトが昼夜ひっくり返ったらしくて、夕方には帰ってきた。
つまり、スゲー久々に、「一家四人」揃って夕食をとることになるワケだ。
この機会を逃すなんてバカだろ。
(マジで棚ぼた状態…。無駄にできねぇ)
「……おかえり、」
―――いつもなら、落ち着かなくてソワソワしてるのに。
『サイモンなら、できるよ』
心は、穏やかだった。
『あんな公衆の面前で私とダチンコ宣言できたんだから、』
そう言ったのは、帰り際のダンゴ。
他のダチ達は、不思議な顔で俺らを見てたけど、俺にはダンゴがなにを言わんとしてるかピンときた。
ぐ、と表情を引き締めた俺に、ダンゴは。
『きっと、できるよ』
―――うん。
心は、穏やかだ。