臆病なサイモン
そこでスーッと頭が冷える、俺。
「石を投げる」じゃない。「冷たい息」攻撃だ。
あれバレてた。やばー。
『「だん このえ」という名前に今の髪型を合体させると、なんと、「ダンゴのえ」、かんせーい』
てやつね。
「いやアレは、尊敬の意を込めて…」
バカにしたわけじゃ決してなかった。
ヘイブラザー、お前イカしてんな、ってレベルのつもりだった。
けど、ダンゴにしてみればバカにされてるように見えたのかもしれない。
あ、だから。
『ヒヨコ』
仕返しだったのだ、彼女なりの。
「人の顔見て笑うなんてサイテーですよね、サイモンくん」
睨み付けられた。
なんか、コワい人だな、と思ったけど、愛想笑いを浮かべないんじゃなくて、出来ない性格なんだな、と解った気がする。
俺、アタマ完全に冷えたかも。
やだ意外と大人じゃーん俺、惚れるなよ。
うそですごめんなさい。俺が悪かったです。
友達のいないクラスに放り込まれて、心細くないわけないのに、そんな中で自分の顔を見て笑われたら、そりゃあ誰だって「なんだよ」、てなるよな。
俺もなる。
てか、傷付く。立ち直れないくらい傷付く。
そんなつもりなかったから、なんかスゲー申し訳なかった。
他人に心ないことされて、言われて、ズキーンッてくる気持ち、俺、よく知ってるのに。
解ってても、思慮が足りずに「ソレ」をやっちまうなんて、ガキすぎるだろ?
いや俺、ガキだけどさ。
「あ……」
謝らなくては、と思った。
やっちまったもんはもうやり直せないし、彼女の記憶を消せるわけでもない。
今んとこできるのは、ドラ○もんの完成を祈ることと、謝ることだ。
でも、思っただけで口が動かない。
困惑しつつ視線を上げれば、彼女、「段 このえ」さんは、俺をじっと睨み付けていた。
こわ、…じゃなくて。
真っ直ぐ。
誤魔化さないし馬鹿にしてるわけでも、非難してるわけでもない。
俺に「わからせよう」としてる。
だから、逸らさない。