臆病なサイモン
謝れ、俺。
謝れ!
「…ごめ、んっ!?」
本気で悪かったな、と思った瞬間。
まさに「ごめん」の「ん」の瞬間。
勢いよく吹いた風が、俺の真後ろでギィギィいってた扉を勢い良く押し戻して、そらもうアスリート並みに勢い良く、俺、バーン。
バーン。
わかる?
俺、バーンよ?
弾き飛ばされた。
ボロい扉にケツと背中叩かれて、前につんのめって、屋上のコンクリに顔面強打。
なにこのタイミング。
しかも。
「ぶーっ!」
はい、神、降・臨。
ゴッドすげぇ。今回特大。
俺の「ララッキー」で、ぷ、とも笑わなかったあのダンゴが、ダンゴさんが爆笑してる。
腹を抱えて爆笑してらっしゃる。
そりゃそうだよな。
ヘーイ、ブラザー。見てるか?
俺がここまで身を呈しておいて、あの気まずい雰囲気が再び舞い戻ったりしたら、俺、バーン損だよな。完全に完璧なバーン損。
「ざっ、残念すぎる…!」
ダンゴさんが笑ってる。
この人、こんなに笑うんだ、ってくらい笑ってる。
俯せになった俺の耳に、「あーっはははははははっ苦しくてしぬっ」て声が、エコーがかって届く。
…俺のフリーダムどこ行った。