臆病なサイモン
「これで、おそろいだな」
晴れ晴れとした笑顔で俺を見るオヤジには、なんかもう、絶対に、勝てない、とか。
なんだよ、こんなサプライズ、卑怯だろ、とか。
言いたいことは、たくさん、あったのに。
「…っ、」
声が、出なかった。
情けないって、怒られても、イイ。
鼻水でぐちゃぐちゃになったって、イイ。
「…こら」
優しい声が、する。
消えた線香花火がはらはらと指の隙間から落ちて、地面で小さな音を立てた。
「友達の為に拳を痛められるかっこいいやつが、泣くな」
…ズッリィイイ。
ソレ、逆効果。
逆効果過ぎて、もう、止まらない。
バタバタと落ちていく涙が止まらなくて、必死になって歯を食い縛る俺を、オヤジがその大きな手で、撫でてきた。
ゴツゴツしてて分厚い、俺や家族を支えてきてくれた、「父親」の手。
「ひ、っく…」
俺、いま、思いきり、伝えたい。
泣き叫んだって、カッコ悪いって言われたって、イイ。