臆病なサイモン
そのままちょっと、沈黙。
俺らの時間には、あんま言葉は多くない。
お互い実はシャイで口下手なアンチクショウだからだ。
高い高い青空は相変わらずてっぺんにスポンと抜けてて、どこに向かってんのか、洗い立てのシーツみたいな雲が上空を棚引いていた。
少しだけ、陰る世界。
それは太陽の熱からひ弱な俺らを守ってくれる、一瞬にして過ぎる休息。
「…俺、オヤジって、呼べたよ」
ほんのちょこっとマジになってそう言ったら、ダンゴはやっとタオルを剥ぎ取って起き上がった。
覗き込んで距離が近くなっていた分、いつもより間近で見つめあうことになる。
恥ずかしくても、耐えた。
「…知ってる」
うん。
俺も、ダンゴがそのこと知ってるってこと、知ってる。
(俺が、いの一番に報告したんだし)
あの時のことを思うと、にやにやと口が緩んでいってしまう。
だけどそれじゃあ、余りにもダセェから、やっぱ堪える。