臆病なサイモン










(…スキャンされてる気分)


だからって、伝えずにはいられない。






「―――だから俺、ダンゴとは一生、ダチンコで居たい」


今までの俺なら、絶対に言えなかった台詞ナンバワン。




「…です」


だけど、本心だから。

だから、伝えておきたかったんだ。

悲しいこと嬉しいこと辛いこと、幸せな瞬間。

それらを誰かと共有できる楽しさを安らぎを、真正面からぶつかって教えてくれたのは、ダンゴだから。



(だから、俺は、これからは、)


ダンゴとも、そうなっていけたら、って。

告白より恥ずかしい台詞を吐いた俺を、ダンゴはやっぱり直視してた。

じわり、と汗が毛穴から吹き出て、タイルにシミを作る。


そんな風に、俺の想いも染みてけばいいのに。






『君なら、できるよ。サイモン』




俺はこの夏、「ヨウチュー」から「ニンゲン」に進化した、ニュータイプだから。



(俺がまたここで逃げたら、宇宙戦争が勃発する)



いやするわけねーケド。









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