臆病なサイモン









やほ、俺、サイモン。

ちょっと俺の話聞いてくんね?

あ、手間はとらせねーから。


うん、そう、ウケるよ。


武勇伝ての?






俺は、産まれつき髪の色がちょっとおかしい。

別にミドリだとかアオだとかアカとかってんじゃない。

チャイロが混じった、キンイロ、っていうか、なんかそんな感じ。


別に学校生活には問題はなかった。

先生もダチンコも、みんなこのアッタマわるそーなパツキンが地毛だって知ってたし。


ただ一個、最大の問題があるとすれば、俺がまっキンパツで産まれる要素が全くの「ゼロ」、ってこと。


「ゼロ」。

一個もない、とかじゃない。限りなく「ゼロ」に近いってんでもない。


「ゼロ」。

つまり、「ありえない」ってことだ。


でもだからって、嘆く必要はない。



「アリ」か「ナシ」かで言ったら?


なぁダンゴ、どう思う?


ちょっとユニゾンしちゃってみない?


そうそう、ソレ。



せーの…!







「「アリだろ」」




だよな、ブラザー!











オワリ











< 271 / 273 >

この作品をシェア

pagetop