臆病なサイモン






思わずダンゴさんを見たら、ダンゴさんもこっち見てた。

覗かれてる。

絶対、俺の中身、見てる。


(勘弁して……)

逸らしたかった。
細い目って、ほんと迫力あるなあって思いながら、その無機質な水晶から逸らしたくて逸らしたくて、たまらなかった。



『――似てないね』

そう誰かが言ったのを、俺は覚えてる。





「…これだけ気持ちいいとね」

ジュー。

目の前から水晶がなくなった。

聞こえるストローの音。

パイナップルの香り。



「……え」


あ。

今。

はぐらかされた?


あからさまな回避。

先に逸らされた視線。

無表情な横顔。

置いてかれた、俺。

情けない俺。

気を遣われたのかもしれない。

きっと酷い顔してたから。

ビビッてたのが、バレた。



「…そ、すね」

それきり、俺は口を閉じた。

なにくぉ話せばいいか解らないなら、下手なこと言うより黙ってたほうが利口だろ?
てか、もうなにも喋りたくない。
他人の声も聞きたくなかったし、自分の声も聞きたくなかった。

……俺、変なヤツに思われてるよな。





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