臆病なサイモン
* * *
―――小学生の頃。
キンパツを理由にコンプレックスの塊と化していた俺はとんだビビりマンだった。
もう、ビックリマンもカバオくんも真っ青のチキンぶり。
こどもってのは得てして自分達とは違うものを排除しようとする生き物だ。
この世の中、それこそ外国人なんて街に溢れていたけど、生憎、俺が通った学校に俺以外のヒヨコヘアは居なかった。
好奇の目でチラチラまじまじ見られては。
『なんでサイモンくんの髪ってみんなとちがうの?』
とか。
『おまえ不良じゃん!かみのけ染めたらいけないんだぞ!』
とか。
『ニホンゴ、ツウジマスカ?』
とか。
それらは悪気ないものがほとんどだった。
けれどだからこそ俺を傷付けた。
悪意にも善意にも、どちらにも脚色されていない「言葉」とはまるまるひとつの「真実」だからだ。
それは曲げようのない事実で、誤魔化すことも隠すこともできなかった。
なにせ俺のコンプレックスは、黒豆粒が揃う教室ではよく目立ったから。