臆病なサイモン
そんな中、キッカケは単純。
待ちに待っていたはずの授業参観の日。
俺の両親が学校に来ちまった時なんかはもう、悪夢以外に他ならない。
俺のこのキンピカピンの頭を見慣れ始めていた奴らは、当然、「サイモンの親って外国人なんだ」、って勝手に思ってるわけで。
『お前の親ってナニジン?』
てな、事前に訊いてきたヤツも居たのに、俺はそれに対してなにも答えられなかった。
ビビってたから。
いくらガキとはいえ、日本人の両親からヒヨコ頭が産まれることはないことくらい知ってる。
だからこそ、下手になにか言った時に。
『じゃあ、なんでお前はキンパツなんだよ?』
なんて言われたら、立ち直れる自信がない。
だから黙ってた。
黙ってたのが、いけなかったのかよかったのか、俺にはやっぱ未だに解らない。
『おかあさん、おとうさん』
真っ黒な髪の毛した正真正銘の日本人の男女が、俺に向かって手を振った瞬間の、あのクラスの、ざわめき。
そして。
爆弾、投下。
『…なんだよ、サイモンの親って、どっちも日本人じゃん』