臆病なサイモン










「……」


―――ダンゴは沈黙してた。


躓きながら詰まりながら話したみっともない俺の昔話を、ダンゴは相槌すらしないで聞いていた。

空は少し傾いていて、天上に近い場所で碧が蒼と溶けている。



「…バカだよな」

なにも言われないから、先にそんなつまんないことを口にしてしまった。

セコいよな。

言われる前に自分で言っちまうなんて、卑怯過ぎるよな。

そのまま汚染されたみたいに沈黙するしかない俺。



三秒後。

…そんな俺を、ダンゴは鼻でせせら笑った。



「…サイモンはやっぱりバカだね」

口許の筋肉だけが動くその様子が妙にニヒルでハマってて、泣きそうになった。

なんだよこいつ。
なんだよ、俺。

なんでこんなヤツにあんな話しちゃったかな。


後悔。

しかけた。

けど。




「聞いちょって、げんねか」


げんねか?

ゲンネカ?

どこの国の言葉?



「…手、貸し」

ポカンとアホ面曝してたら、がしりと腕を捕まれた。


「ひっ」

あまりの勢いに思わず手を引きそうになるが、睨まれたので慌てて踏ん張る。






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