臆病なサイモン
なになになに!?
コイツ…俺が今話したこと本当に聞いてたのかよ!?
触られるのが怖いって言われた端から触るか!?
「…ダンゴ?」
だけどダンゴは、焦る俺など完全無視で、いつもの顔のままごく真面目に俺の手を握ってやがる。
これじゃなにも言えねーじゃんバカやろ…とも言えねーけどさ、やっぱ。
「実験しようよ」
そして唐突に宣言された。
なにが、と問う前にダンゴの左口角が釣り上がる。
「今からあんたが考えてること、私、当ててやるから」
にやり、と笑む様は自信たっぷりだ。
今まで「頭ん中」を見透かされてきた様々なデジャヴが甦る。
「……っ、」
ゾゾッ。毛穴全開。
このひとチョーこわい。
「…なにか考えててよ」
強張ってる俺を慰める気もないらしい。
ギリ、と睨み付けて、ダンゴは手を握る力に込めた。
考えててよって…なに考えればいいんだよ。
音楽チャート?
夏休みのこと?
あ、期末テストとか…駄目じゃん、俺が憂鬱になるし。
「考えた?」
わかんねーよ!
思わず内心でツッコんだ瞬間、ダンゴと目が合ってしまった。