臆病なサイモン








「…ハズレ」

言うまでもなくそうだが、一応口に出しとく。

だってダニエルだぜ。
なんでダニエル。

ハリポも真っ青だっつの。
あ、ちょっとタイムリー狙っちゃったってか?

ハリポラッシュだしな、今。

…やるじゃん。


そんでダンゴは尚も続ける。

真剣な目をギラギラさせながら、俺を凝視してきやがった。

目だけは本気。

こいつやっぱ怖い。



「酢豚のパイナップルが憎い」

ふざけんなテメッ当てる気ゼロかよ!

そんなこと言いつつ、顔は至って真面目だから気が抜ける。


「…掠りもしてない」

まぁ、俺は俺でなにも考えてないんだけど。

強いて言うなら、むにゅむにゅした柔らかい小さな手が、なんかきもちい。

って、ことくらい。

思春期なんだよ、許せ。




「最近のケンコバは神」


…それはまぁ。


「神だろ」


考えてたわけじゃないけどな。

俺がそう答えると、ダンゴはパッと手を離した。

真面目な顔が一瞬でにやり顔になる。


なんだよ。

ニヤニヤすんなよこわいだろ!



「これで決まりだね」


なにが。






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