FLOWER
「悠平クンのお父さんが、大手会社の社長サンなのは知ってるでしょ?」
リオが頷く暇も無く、妃はスラスラと話を進めていく。
「そして『橘』っていうお菓子メーカーの社長さんの娘が、悠平クンの事気に入ったらしくて…。」
嘘だ、とも言えずにただ呆然と妃の言葉に耳を傾ける。
「悠平クンのお父さんは、その会社と繋がりが持ちたかったからお見合いさせることになったんだって」
妃の話はそこで終わった。
悠平が…お見合いするの―?
私のこと『好き』って言ってくれたのに―…
「悠平クンは、リオのこと本当に好きみたいだよ?…お見合いは、悠平クンの事を信じてそっとしてあげた方がいいと思うんだ」
妃の言葉が胸にしみて、思わず瞳から涙がこぼれた。
―…そうだよね
妃のためにも、悠平のためにも
私がこんなとこでグズグズしてる訳にはいかないんだ――