FLOWER
ガチャ―
静まりかえった部屋に、ドアを開ける音だけが響く。
いつもなら言う『ただいま』という言葉も、何となく言う気が無くてそのままベッドに身をまかせた。
「はぁ…」
色々考えすぎてため息が漏れる。
妃は全部聞くって言ってたけど―…
「お見合い」の事はもう分かってるのに。
そして、悠平は私より『燈織』という女の子の方が好きなのも分かっている。
私の立場は無い―
明日会ったら『別れよう』という言葉がまっているだけ。
そう思うと胸が苦しくなって、顔を枕にうずめた。