FLOWER
地図通りの家につくと、立派な門にプレートが貼ってあって『橘』と記されていた。
妃が何の躊躇も無くインターホンを鳴らす。
「どちら様でしょうか?」
スピーカーから女性の声が聞こえてきた。
妃はスピーカー付近にあるマイクに向かって
「燈織ちゃんのお友達なんですけど!」
と叫んだ。
「え、ちょっ…妃!」
リオが腕を引っ張っても、妃は動じなかった。
「お嬢様のご友人でしたか。大変失礼いたしました」
女性がそう言うと、スピーカーの音が途絶えて門が開いた。
「もー…妃、友達でも何でもないじゃん」
「悠平クンに会わせてくれ、っていっても開けてくれないだろうからね」
妃はそう言うと門の中を颯爽と歩いていった。