セクハラ彼氏は会社の上司
誘惑する後輩
ガンッ―――――
凄まじい音ともに、机に置かれたビールジョッキ。
「手強い」
腹の底から出したような、低い声。
生ひとつー、とか居酒屋らしい声が飛び交う中、あたしたちの空間は重かった。
「隆起君、かなり手強い」
枝豆をつまみながら、紫苑ちゃんが言った。
隆起君と飲みに行った日の翌日。
今夜付き合ってという紫苑ちゃんに言われ、居酒屋で『愚痴』という名の恋の相談を受けている。
「そ、うなの……?」
両手でジョッキを持ち、恐る恐る尋ねた。
「かなりね」
紫苑ちゃんは定員を呼び止め、生追加四つ頼んだ。