セクハラ彼氏は会社の上司
下に着くともう秋さんは待っていて、
「秋さんっ!」
と呼ぶと、こちらをゆっくりと向いた。
「いこっか」
ニッコリと笑う秋さんに、あたしも笑顔を返し頷いた。
久しぶりに会社の外で秋さんの隣を歩く。
嬉しいし、ドキドキするけど、
隆起君のことがあってか、変な緊張があたしを包む。
「玲那、昨日何してた?」
何を話そうかと考えていると、秋さんがそんなことを聞いてきた。
「え、昨日っ?」
昨日は、隆起君と……
なんて言えるわけがない。
ただ何気なく聞いてきただけなのに、秋さんが何か知ってるんじゃないかと思うと、
答えにつまってしまった。
「えっ……と昨日は……家でごろごろしてた……かな……」
かなり途切れ途切れ、しかも挙動不審。
絶対怪しまれてるよっ!!
「ふーん……そっか」
だけど秋さんはそう言い、あたしの手を握って歩いた。