セクハラ彼氏は会社の上司
「メニュー、頼まないの?」
秋さんの手の中にあるメニューはあたしに向けられていて、あたしは慌ててそれを手に取った。
「玲那大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んでくる秋さんに気付かれないように笑顔をつくって
「大丈夫だよ」
と答えた。
「なら、いいけど」
まだ秋さんは納得してないような声を出したけど、あたしはただ笑顔を向け続けた。
秋さんには迷惑かけちゃ、駄目だよね。
あたしの馬鹿な行動のせいで人を傷つけた。
そしてきっとまた誰かを傷つけることになる。
こんな自分に腹が立つ。
だけと腹が立ってる自分が一番腹が立つ。
腹なんか立てれるような立場じゃないのに、
自分なんか、なんて自分を責めて、安心してる。
そんな自分が、ほんとに、死ぬほど、
嫌になる。