セクハラ彼氏は会社の上司
「……な、玲那っ?」
「え、あ、なにっ??」
考え事をしていて、また呼ばれていることに気が付かなかった。
「ほんとにどうした?今日の玲那、なんか変だよ??」
眉間にシワを寄せて、不安そうに秋さんがあたしを見る。
「どうもしてないよっ!ただ考え事をしてただけ」
そう言い、水を飲もうと口に運んだコップがスルリとあたしの手から抜け落ち、
バリンッとガラス特有のを立ててコップと水が粉砕した。
「玲那っ!大丈夫っ!?」
「ごめんなさいっ!!」
すぐに店員を呼んで片付けてもらったけど、あたし、やっちゃった……
「怪我しなかった?」
それでも心配してくる秋さんに、涙が出そうになる。
駄目だ。
自分にそう言い聞かせ、グッと涙を堪えるけど、
「なにかあったなら、言いな?」
そんな優しい声と顔を見ると、堪えていた涙も、溢れ出してきて。