リベンジコレクション
ソウは一般人とは思えない迫力があるため近寄りがたいが、店員さんは笑顔に親しみがあり、常に女性に囲まれていそうだ。

ショップ店員のレベル高いな……って、ん?

店長?

……店長!?

驚いてソウを見上げると同時に、店内がざわつき始める。

「ソウさんだ」

「てっきり今日は休みなのかと」

「やっと出てきた」

 注目を集めるソウは店内をぐるりと見渡す。

何度かあつし君に付き合ってメンズショップに入ったこともあるが、こんな雰囲気だっただろうか。

店長なんて名札を見てようやく意識する程度ではなかろうか。

少なくとも、店長がいないとそわそわするのは仲のいい常連客くらいだろう。

それが今は、賑わう店内すべての視線が店長へと向かっている。

なんなんだ?

お前らどうした!?

「いらっしゃいませ」

 ソウは一言だけ、挨拶を返した。

向けられた視線に動じることなく、うっすらと微笑んでいる。

ただそれだけの反応に、大勢いる客たちは不思議と納得したようで、また熱心に服を物色し始めた。

「さすが店長~」

 お兄さん店員がからからと笑っている。

さすが店長、で済ませていい現象なのだろうか。

従順すぎてちょっと怖い。

「奥でちょっと休んでから店立つわ。しばらく頼んだ」

 ソウは店員さんの肩を軽く叩くと、私の背に手を添えて奥へと促してくれた。

お客さんとすれ違うたびにいらっしゃいませと声をかけながら、ゆっくりと進む。
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