リベンジコレクション
たまに話しかけられると丁寧に応じ、乱れた洋服は素早く畳み直して棚に陳列していく。

「ソウさん、このシャツを買いたいんですけど……あの、この色のシャツに合うアウターってありますか」

 ちらちらとソウに視線を向けていたお客さんが、意を決したように話しかけてくる。

「ありがとうございます。そうですね……これなんてどうですか?」

 ソウは少しだけ考えるように視線をそらし、奥の方にあったジャケットを手に取った。

「あ、ありがとうございます!」

 ソウが差し出したジャケットを、お客さんは値札も見ずに受け取ろうとする。

ソウはにこやかに笑いながら、お客さんにレジの方を指し示した。

すぐ隣には試着室がある。

「ぜひ一度、合わせてみてください。……先日お買い上げいただいたパンツにも合うと思いますよ」

 ソウの言葉に、お客さんが目を丸くした。

「木瀬」

「はいっ」

 ソウに呼ばれてすぐさまやって来たのは、先ほどのお兄さん店員だ。

お客さんを任せるのかと思いきや、ソウはジャケットだけでなくお客さんが手にしていたシャツも預かり、試着室へと向かっていく。

お兄さん店員は私の方に来ると、こちらでお待ちください、とレジの裏に案内された。

ソウは試着室へ案内したお客さんとしばらく話し、にこりと笑うとレジに来た。

「木瀬、サンキュ」

「いえいえ」

 お兄さん店員は嬉しそうにシャツとジャケットを受け取り、丁寧に畳み直していく。

ソウはレジを素早く打って会計を済ませると、お兄さん店員が包んだ袋をお客さんに手渡した。

「ありがとうございました」

 ソウだけでなくお客さんまで笑顔でお礼を言っている。
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