リベンジコレクション
「面白い顔してる」

予想できない事態が次から次へとやってくるのだから、面白い顔になっても仕方のないことである。

なんとも失礼な発言だが、ソウにはそれを許せてしまう魅力があった。

反論できずに顔を背けると、怒ったと勘違いしたソウが苦笑する。

「悪い、女の子に言っちゃまずいよな。……まあ、そのうちにでも慣れてもらわないといけないんだけど」

「えっ?」

今の発言ってどういう意味?

聞き返した私ににやりと笑って、ソウは扉を押し開ける。

ここは……バックヤードだ。

狭い通路の両側にはダンボールが重なっていたり、ビニールに包まれた洋服がずらりと並んでいる。

「在庫は大体ここに置いてる。どこに何がどれくらいあるか、ここを通る時は注意してみて」

ソウは転がっていたダンボールを畳みながら奥へと進む。

完全に店舗の裏側を部外者の私が見てしまっているがいいのだろうか。

「それから、ここが休憩室。あ、あと向こうにあるドアがトイレね」

とりあえずはい、はいと頷きながら、私の中に嫌な予感が駆け巡る。

部外者の私はなぜ今こんな説明を受けているのだろう。

まさかの社会見学的な何か?

「あ、あのぉ……」

恐る恐る声をかけたものの、私の声が小さすぎたのか、ソウは振り返ることなく休憩室とやらのドアを開けた。

「おつかれ……って、あ」

目の前に繰り広げられた光景に、私は目を見開く。

……美青年がいらっしゃる。

すばらしい裸体をお持ちの美青年が!!
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