リベンジコレクション
男性側からすれば明らかにハズレの合コンだったが、意外にも彼らは最後まで盛り上げてくれた。

普段話せないイケメンを堪能し、女性側は至福を味わった。

もちろん私もその一人で、イケメンとは心までイケメンなのかと驚いたものだ。

ただ一人、美人の同僚は思惑が外れ不満そうにしていたが、お気に入りのイケメンにちやほやされ、帰る頃にはご満悦の様子だった。

人生に一度きりのスペシャルデー。

最高の合コン。

極上の時間。

当然こんな機会は、もうこれっきりだと思っていた。

イケメンモデルを捕まえる気満々な美人の同僚は除いて、私以外の合コンメンバーもそう思っていたはずだ。

それなのに翌日。

社交辞令で交換したはずの携帯番号から、着信があったのだ。

「りょうちゃん? 俺、あつしだけど。……よかったらさ、メシでも行かねえ?」

運命かもしれないなどと、その時の私は思ってしまった。

男友達なんて一人もいない私は、緊張を押し隠して承諾する。

あの瞬間の私が、人生で一番幸せだっただろう。

お風呂に入っても興奮冷めやらず、布団に転がってきゃあきゃあ言いながらジタバタしていたっけ……。

ゴミのようにあっさり捨てられる日が来るとも知らずに。

それから流されるままにあつし君と食事に行き、流されるままにあつし君の彼女となった。

しかし、浮かれていたのは最初だけで、私は次第にあることを気にするようになった。
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