月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
「課長、証拠品はすべて押収したんですよね」
「はい。リストをお見せしましょうか」
「お願いします」
達郎は颯爽と身をひるがえした。
あたしはその腕をつかんで止めた。
「なんだよ、レミ」
「素直に言いなさい」
「なにを?」
「あんた今、ごまかしたでしょ」
たぶん扇署の押収した品は達郎にとってあまり意味はない。
まったくないとは言わないが、口で言うほど興味はないはず。
たぶんあたしの追及をかわすためのポーズだと思うのだ。
根拠はない。
ただ、お目付け役としての長年の勘が怪しいと告げている。
「ごまかしてなんかないって」
達郎はあたしの手を押さえた。
「それにレミに迷惑をかけるつもりはないから安心しろ」
そう言って迷惑かけられなかったこと今まで一度もないんだけど。
部屋を出る直前に達郎は言った。
「やっぱ現地には、足を運ぶべきだな」
不敵なその独り言に、あたしの不安は募る一方だった。
「はい。リストをお見せしましょうか」
「お願いします」
達郎は颯爽と身をひるがえした。
あたしはその腕をつかんで止めた。
「なんだよ、レミ」
「素直に言いなさい」
「なにを?」
「あんた今、ごまかしたでしょ」
たぶん扇署の押収した品は達郎にとってあまり意味はない。
まったくないとは言わないが、口で言うほど興味はないはず。
たぶんあたしの追及をかわすためのポーズだと思うのだ。
根拠はない。
ただ、お目付け役としての長年の勘が怪しいと告げている。
「ごまかしてなんかないって」
達郎はあたしの手を押さえた。
「それにレミに迷惑をかけるつもりはないから安心しろ」
そう言って迷惑かけられなかったこと今まで一度もないんだけど。
部屋を出る直前に達郎は言った。
「やっぱ現地には、足を運ぶべきだな」
不敵なその独り言に、あたしの不安は募る一方だった。