月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
「子供たちに捜査協力してもらうためには格好のツールだろ」

「そりゃそうだけど…」

あー、だから
「探索(クエスト)開始」だなんて言ったのか

あたしは呆れ返りながらも、うなずかざるをえなかった。

確かにこれは7月11日の今日じゃないと手に入らない。

輪になっていた少年たちは一人が手にしていたニンテンドーDSを取り囲んでいたのだ。

そのDSに入っていたソフトはもちろん『ドラゴンクエストⅨ』。

瞳をキラキラさせながらドラクエをプレイする少年たちを置いてあたしたちは出発した。

「ところでさ」

あたしは公園を振り返りながら言った。

「あの子たちドラクエを持って逃げ出したりしないかしら」

「大丈夫」

達郎は平然と言った。

「酒井課長に念を押しといてもらったから」

「あんたなにやらせてんの!」

そりゃ子供でも警察はヤバいと思うだろうけど!

『絶対に300万を見つけないと』

あたしは心の中で決意を新たにした。

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