月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
300万につながるヒントはどこ?

「上というのはあのことだ」

達郎が指した所を見る。

先ほど柵の外でも見た、畑の配置図がそこにもあった。

…ああ、なるほど。

「屋敷の上とは屋鋪さんの畑の『上』にある畑のことを言ってるのね」

あたしは配置図に並んだ名前を見た。

屋鋪さんの「上」にある畑の持ち主は…。

そこにあった名前を見た時、あたしは自分の目を疑った。

しかしそこには確かに、「酒井」という名前があった。

「酒井課長?」

思わずそうつぶやいた。

「レミもそう思ったか」

「どどどういうこと!?」

「『ど』が多すぎ」

そんなこと突っ込まなくていいから!

「なんでここで酒井課長が出てくるの!?」

「落ち着け、レミ」

達郎は手であたしを制した。

「酒井課長に確認してみろよ」

それはそうだ。

酒井なんて名字はそれほど珍しくない。

同姓だという可能性は、十分ある。

あたしはバックから携帯を取り出した。

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