月と太陽の事件簿7/ブラームスの小径(こみち)
「はい、もしもし」
電話向こうから聞こえてきた酒井課長の声は穏やかだった。
つい数時間前の覚悟に満ちた声からは想像もつかない。
あたしは扇町菜園にいることを告げた。
すると酒井課長からは意外な言葉が返ってきた。
「そうですか、ついにたどり着きましたか」
たどり着いた…?
「どういうことですか、酒井課長」
「あなた方が今いるのは菜園の中ですか」
「はい」
「目の前には『酒井』の立て札がある畑ですね」
「はい…」
正確にはその隣の畑だけどさ。
「もうお分かりかとは思いますが、そこは私が借りている畑です」
趣味の週末農業のため、五年前から借りているそうだ。
「松村から託された金は…300万はそこに埋めてあります」
電話向こうから聞こえてきた酒井課長の声は穏やかだった。
つい数時間前の覚悟に満ちた声からは想像もつかない。
あたしは扇町菜園にいることを告げた。
すると酒井課長からは意外な言葉が返ってきた。
「そうですか、ついにたどり着きましたか」
たどり着いた…?
「どういうことですか、酒井課長」
「あなた方が今いるのは菜園の中ですか」
「はい」
「目の前には『酒井』の立て札がある畑ですね」
「はい…」
正確にはその隣の畑だけどさ。
「もうお分かりかとは思いますが、そこは私が借りている畑です」
趣味の週末農業のため、五年前から借りているそうだ。
「松村から託された金は…300万はそこに埋めてあります」