Lの境界線

私の好きな人。
さっきまで考えていたことだ。
特別な、限定された一人。一緒に居たい、もっと一緒に話したい。そう思う一人。
誰……なのだろうか。

考える私の脳裏に、一人の顔が浮かぶ。
と、その時。

「もしかして、お前、俺のこと好き?」

凄まじいタイミングだった。
それ故に、私は即座に

「はぁ?違うし」

と言って顔を背けた。

「……ふーん」

その時マコがどんな顔をしていたのかはわからないが、自分の顔が酷く熱を持っているという事はわかった。

なんで。そんなんじゃないのに。
限定された一人で思い浮かんだのがマコの顔なんて……。

絶対に言えない。
いやいやいやいや、だってそうだろう。マコはあくまで友達なのだ。

一緒に帰ったり、遊んだりするけどそれはあくまで友達としてであって別に下心なんてない、だっていつもみんなと一緒なんだ。

それにそれを言うなら私はケンとも一緒に帰っているし遊んでいる。

だから、有り得ない。無い、それは無い。

私がマコを「愛してる」なんて、そんな。



私とマコは、ケンとヨーコが帰ってくるまで沈黙を続けた。
かなり気まずかったけど、きっと話すと変に意識するだろうから……いや、何を意識するかとかそんなのはよくわからないが。

とりあえず、何も考えないことにしよう。
やっぱりloveとlikeの違いなんてわからない、いや、わからない方がいいのかもしれない……。

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