Lの境界線
その結果が、この様である。
「っ……テメェら……っざけんなよ……!!」
炎天下の中、野郎二人を自転車に乗せ、角度が無駄に高い上り坂を、俺は汗だくになって必死で上っていた。
ノロノロ とした足取りで全体重をペダルにかけて自転車を動かす。
当然、自転車はゆっくりとしか進まない。
「だってマコちゃんのチャリだし」
「頑張れマコちゃん!愛しのあの子が応援してるわよ!」
「マコちゃん言うな!!キモい!黙れ!」
後ろで涼しい顔をしているケンとシュンを怒鳴りつける。渇いた喉はか細い声しかつむげず、怒鳴るというよりは吐き捨てるに近いのかもしれないが。
しまった、無駄に体力を消費した……。
「え?てか愛しのあの子って誰?」
「知らないの?2組の……」
「だぁぁぁあーーー!!!!黙れ黙れ黙れ黙れ!!!テメェらぜってー宿題見せてやんねーからな!!」
シュンが余計な事を言う前に、俺はかすれた声で精一杯に喚き散らし、その勢いにのせてペダルを グングン と漕いだ。
少なからずだが、自転車のスピードが上がった。
汗で額に張り付く前髪がうっとおしい。シャツも汗だくで気持ち悪い。
そうだ、海についたらこいつらを道連れに、私服のままダイブしてやろう。うん、我ながらいい考え。