Lの境界線
「……そう」
彼女は、それきり黙りこむ。
どうして、何も言わないんですか。
僕の想いに答える気なんかないんでしょう。だったら、滑稽だと笑ってください、いつもみたいに馬鹿にして笑って、まだまだ子供だとからかってください。
叶わない恋なんだ。わかってる。だから、早く、いつもの僕と貴方に。
「ごめんね」
どうして謝るんですか。
笑ってください、いつもみたいに。
叶わない、叶わない恋なんだ。
滑稽な想いを抱えた子供だと笑ってくれればよかったのに。
彼女の綺麗な仕草は、僕の中に有り得ない希望を抱かせる。
もしかしたら、あの男に勝てるのかもしれない、と。
「どうしてですか」
ダメだ。違う。彼女それはそんな意味じゃない。
「なんで」
叶わない、叶わないんだ。
だから、やめろ、これ以上
「僕は貴方を幸せにします。貴方を何よりも愛します。ケン先輩には負けません、貴方を悲しませたり、困らせたり、泣かせたりはしません」
彼女の語る彼はいつもミステリアスで、何を考えているかわからない男だった。
彼がわからないの、と彼女が泣いたこともある。でも、彼の話をする時はいつも楽しそうで。
「僕が貴方を支えます。笑っていられるように。僕なら、貴方を世界で一番愛することができる」