Lの境界線
売店で飲み物を買って、教室に向かう道中に、私は私自身を責めるように、そんなことを考えながら罪悪感を肥大化させた。
誰も居ない廊下を早足で歩くと、一緒に帰る予定の友達が待っているはずの教室のドアを、ガラリッ と音を立てて開ける。
電気のついていない室内は、この夏の晴天の所為で少しだけ明るい気はするが、やはり薄暗かった。
誰も居ない教室を「あれ?みんなは?」と思いつつ、グルリと見回す。
と、窓際の席に、見覚えのある人物を発見した。
「マコ、みんなは?」
突っ伏して寝ている男子生徒に尋ねると
「……んぁ?」
ワンテンポ遅れて、間抜けな低い声が聞こえた。
マコは寝惚けた顔でこっちを向くと、私をじって見てため息をつく。
人の顔を見てため息をつくとは、失礼にも程がある。
一発殴る事も考えたが、やめておくことにした。
「ねぇ、みんなは」
ドアを後ろ手に閉めて、再度尋ねながら、私はマコに歩み寄る。
マコは眠そうな顔をして、「あー……」とか気の抜けた声を出しながら、恐らくは他の皆の行方を思い出そうと思考を巡らしていた。
「あぁ」
思い出したように呟き、既に隣に立っていた私と視線を合わせる。