Lの境界線
「二人とも補習。ケンは数Ⅱ、ヨーコは英語」
ああ、そういえば。
マコの言葉を聞いて、私は二人の友人が昼休みに憂鬱そうな顔をして言っていたのを思い出した。
「……ご愁傷さまって感じだね」
「全くだな」
はぁ、とため息をついた。
全く、高校とは面倒なものである。高校二年生になった今でも思う。
一教科でもテストで欠点を取れば補習、少し校則に引っ掛かっただけで呼び出しをくらう。
些か厳しすぎやしないか、とは思うが、小学校や中学のゆとりに慣れきっていた事もあるので、仕方のない事だと妥協はする。
何よりも、一年ですっかりこの厳しい環境に慣れてしまった。
厳しい厳しいとは言うが、嫌な事ばかりではないのも事実だ。
気軽に話せる友達もできたし、行事は中学の倍楽しい。
まさに青春を謳歌している。と言った感じだ。
青春、か。
不意に、私がつい先程フッた男子生徒の事を思い出した。
同時に襲ってくる罪悪感に、私は思わず重たいため息をついた。
「どした?元気ねーな」
重たいため息が気になったのか、マコが、いつの間にか私達の間に出来ていた沈黙破った。
……はて、事実を告げるべきか。
別にどちらでもいいのだが、何だか気まずくなる気がした。
かと言って、何でもない、と言えばきっと問い詰められるだろう。
まぁ、話のタネが無いよりはマシかもしれない。いや、こんな事を話のタネにして良いものなのかわからないが。
直接的に言うのはよそう。
そう思い、私はとりあえず疑問を投げかけることにした。
「ねぇ、フラれるのって、やっぱ辛いのかな」