カズキ番外編~高広
そんな寂しい夜道を子供が二人歩いていても、静寂な闇が、波音が全てを包んでいく。


まるで私達を隠すように。





ややしばらく歩くと、高広は見知らぬ家の庭に入り、自転車を持ってきた。





「どうしたのこれ?」

「友達から借りたんだ。」

「そう…」





うちには当時、自転車がない。



あっても、斜面ばかりで自転車の意味がなく、この土地に引越して来てから母が処分したのだった。





「これに乗って帰ろう!」

「うん」



言われるまま、後ろに跨がり座った。







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