カズキ番外編~高広
幼すぎる私たちは荷物も何もなく、ただ夢中で走り出していた。





次第に寒さが体を襲ってくる。




「高広にぃちゃん…寒いから…帰ろう?」

「……」

「ねぇ…家に帰ろう?」




後ろから、覗き込み見上げた高広の瞳からは…



ただ…

ただ…



涙が頬をとめどなく伝っていた。






高広が、あの時何処へ一体帰りたかったのかは今もわからない。

大きくなった今も、聞けずにいます。









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