さうす・りばてぃー
第五話 救出劇と残暑
雨の中、足場が悪くなっている道を踏みしめながら、ひた走る俺と達也。
夜の山道で、おまけに地面が濡れている。
危険なことこの上なかった。
傘には容赦なく雨がぶちあたり、激しい音を立てている。
俺たちは、山頂方面に向かって走っていた。
穂波たちがそちらに行ったという根拠はない。
しかし、上に行くにせよ下に行くにせよ、一本道だ。どちらかで当たるだろう。
少なくとも、二人を見つけるまでは、俺たちは立ち止まるつもりはなかった。
道の途中、炭置き小屋を見かけた。人はいないようだ。
今も使われてるのかどうかもわからない。
それだけ古い建物だった。
二人が雨宿りしている様子はないのを確認すると、俺たちはまた山頂方面へと走った。
そして、それから十分ほど走った頃、俺は腕時計を見て、それから後ろを振り返った。
達也と、危なくぶつかりそうになる。
「どうした?」
息を整えながら、達也が聞いてくる。
「九時十分だ」
「それがどうした? まさかテレビの時間なんて言い出すんじゃないだろうな?」
笑えないジョークだった。俺はそれを無視して言う。
「戻ったほうがよさそうだ」
「どういう意味だ?」
達也は不審そうな目をこちらに向けた。
「穂波と星空がコテージを出たのが七時過ぎ。八時前には戻ることにしていたのなら、せいぜい三十分も歩けば引き返しているだろう。俺たちの走る速度なら二十分だ。だけど、俺たちが走り始めてからもう三十分以上経つ。彼女たちに何かあったとしても、その場所はもうとっくに過ぎてるはずだ。麓方面だったのかもしれない。戻ろう」
俺が説明し、達也は同意した。それにしても、と思う。
今にして考えれば、なにも二人して山頂方面に走らなくても、一人が山頂、一人が麓方面に行けばよかったではないか。
知もおそらくそれを見越して、二人を行かせたのだろう。
それなのに俺ときたら、まったくそれに気がついていなかった。
自分の馬鹿さ加減に腹が立つ。
夜の山道で、おまけに地面が濡れている。
危険なことこの上なかった。
傘には容赦なく雨がぶちあたり、激しい音を立てている。
俺たちは、山頂方面に向かって走っていた。
穂波たちがそちらに行ったという根拠はない。
しかし、上に行くにせよ下に行くにせよ、一本道だ。どちらかで当たるだろう。
少なくとも、二人を見つけるまでは、俺たちは立ち止まるつもりはなかった。
道の途中、炭置き小屋を見かけた。人はいないようだ。
今も使われてるのかどうかもわからない。
それだけ古い建物だった。
二人が雨宿りしている様子はないのを確認すると、俺たちはまた山頂方面へと走った。
そして、それから十分ほど走った頃、俺は腕時計を見て、それから後ろを振り返った。
達也と、危なくぶつかりそうになる。
「どうした?」
息を整えながら、達也が聞いてくる。
「九時十分だ」
「それがどうした? まさかテレビの時間なんて言い出すんじゃないだろうな?」
笑えないジョークだった。俺はそれを無視して言う。
「戻ったほうがよさそうだ」
「どういう意味だ?」
達也は不審そうな目をこちらに向けた。
「穂波と星空がコテージを出たのが七時過ぎ。八時前には戻ることにしていたのなら、せいぜい三十分も歩けば引き返しているだろう。俺たちの走る速度なら二十分だ。だけど、俺たちが走り始めてからもう三十分以上経つ。彼女たちに何かあったとしても、その場所はもうとっくに過ぎてるはずだ。麓方面だったのかもしれない。戻ろう」
俺が説明し、達也は同意した。それにしても、と思う。
今にして考えれば、なにも二人して山頂方面に走らなくても、一人が山頂、一人が麓方面に行けばよかったではないか。
知もおそらくそれを見越して、二人を行かせたのだろう。
それなのに俺ときたら、まったくそれに気がついていなかった。
自分の馬鹿さ加減に腹が立つ。