さうす・りばてぃー
 九月になり、学校が始まった。

 日焼けしてる奴もいれば、まったく変わってない奴もいる。

 俺は、少しだけ黒くなった。

 クラス仲間とも顔を合わせるのは久しぶりだったので、話も弾む。

 どこに行ったか、というような話で盛り上がった。

 そして、久しぶりの授業には、体力を消耗した。

 集中力が五分と続かない。居眠りして、先生に怒られるやつが続出した。

 もちろん俺もその中の一人。

 しかし、それもほんの数日のことで、一週間もすると、教室は一学期と変わらない雰囲気に包まれていた。

 そして、9月も第3週に入ったある日の昼休み、俺は星空に、屋上まで呼び出された。

 その日は午前中雨が降っていたが、ちょうど30分くらい前にやみ、今は弱めの陽射しが屋上を照らしている。

「何だよ、話って」

 屋上のフェンスに背をもたれさせながら、俺が言う。

 すでに二人とも、昼食は済ませていた。

 昼休みが終わるまでは、まだ30分ほどある。

 屋上を、少し肌寒い空気が漂う。

 夏の終わりを感じさせていた。

「えっとね、祐介、穂波と仲いいんだよね?」

「またその話かよ」
 俺は頭を掻いた。

 いい加減、この話題にもうんざりしてきたところだ。

 いったい、何度否定すれば気が済むんだろう。

「あ、違うの、からかうとかじゃなくて」

 星空は手を前方にわたわたと振って、否定してくる。

「?」

 俺は星空の普段と違う態度に、とまどった。心なしか、星空の顔が赤い気がする。

「あのね、デートしてくれない?」
 星空はうつむきながら言った。

「は?」
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