さうす・りばてぃー
 そして次の日。俺は屋上で飯を食べていた。

 といっても、あんぱんとクリームパンだ。

 栄養は、夕食でとることにした。

 近くには、穂波と星空がいる。二人は自作の弁当持参だ。

 星空も、最近すっかり自炊が板についている。

「ていうわけで、来週の日曜日、サッカーを見に行くことに決まった」

 あんぱんをかじりながら、俺が言う。左手には、パックの牛乳を持っている。

「ありがとぉー」

 星空は胸の前で手を組み合わせながら言った。

 本当に嬉しそうだ。

 こんなに喜んでくれるなら、俺もクッキーを失ってまでセッティングした甲斐があったというもの。

「で、俺たちは途中で消えればいいのか?」

「そんなことしなくていいよ。いきなり二人きりにされたら、緊張しちゃうじゃない」

 星空は俺の提案を、やんわりと退けた。

「祐介と穂波は、いつもどおりでいいから。変なことしないでね」

 さらに念を押される。

「その日は告白しないのか?」

「さすがにいきなりはね。ま、学生生活も長いし、のんびりいくよ」

 星空は弁当の卵焼きを口に入れながら言った。

 確かに、そんなに焦る必要もないだろう。

 俺たちは、九月の風に吹かれながら、昼食を食べた。

 暖かかった昨日までとはうって変わって、今日は一気に気温が下がっている。

 夏服だと、そろそろ昼でも寒くなってきていた。

 もうすぐ衣替えの時期だ。
< 132 / 194 >

この作品をシェア

pagetop