さうす・りばてぃー
第七話 クリスマスイブ
 カレンダーが一枚破られ、十月になった。

 今月から、制服は男女ともに冬服に変わる。

 秋風が、徐々に冷たくなる季節だった。

 そして、十月二十三日。俺たちの学園祭、通称「希望祭」が開催された。

 クラスごとの発表もあるにはあったが、そんなものは形だけ。

 真の見世物は、各部ごとの発表と、それを見て歩く校内カップルの二つだった。

 この日は、各部とも、気合を入れて展示を行ってくる。

 特に文化部は、ここでの評価次第で来年の予算が変わってくるので、必死だった。
 
 われらが美術部は、一つの教室を借り切って、展示を行っていた。

 といっても、発表するものは一つしかない。

 知の「星降る湖畔の夏」ただ一点だけだ。

 それを教室の後ろの壁に据え、周りに飾りを貼り付ける。

 ついでに、「美原市主催 第28回絵画コンクール 高校生部門 銅賞」とでっかく書かれた紙をその下に貼り付けてやる。

 装飾は、結局全部俺の手で行った。

 知に、「何もしなかった、ではおまえも居心地悪いだろう?」
とか言われては、やるしかなかった。

 他の部も忙しいので、当然手伝いはゼロ。

 机の移動から貼り付けまで一人でやるのは結構大変だったが、普段の俺の活動を考えれば、仕方あるまい。
 
 部屋に誰もいなくては寂しいので、当日は、俺と知が交代で留守番をやっていた。

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