さうす・りばてぃー
 さうす・りばてぃーの面々は、一人を除いて全員一通り見に来てくれた。

 一人というのは達也だが、あいつは風邪で学校を休んでいる。

 もっとも、本当に風邪かどうかはわからない。

「希望祭なんて、俺が行ってもすることねえよ」なんて言っていたから、仮病の疑いも強い。

 そして、さうす・りばてぃーの者以外にも、結構来場者は多かった。

 話題になった知の絵を見ようという者達だ。
 
 最近知ったのだが、知が入賞した例の絵画コンクールは、かなり権威のあるものらしい。

 県下で行われている各市主催の絵画コンクールの中では、もっとも大きいものだとのこと。

 この賞を取ってプロになった人もいるという噂だ。
 
 実際、俺が見ても、知の絵はなかなか見事だと思う。

 コテージが星屑の下に描かれていて、見る者すべてに幻想的な雰囲気を味わわせる。

 コテージからわずかにもれる人工的な光とのコントラストが、また見事だった。

 何よりすごいのは、これが絵画経験2ヵ月の者が書いた絵だということだ。

 とてもはじめてまともに描いた絵だとは思えない。

 それくらい立派だった。
 
 ただ唯一疑問が残るのは、知はいつこれを描いたのかということだ。

 一日目の夜は台風だったし、二日目の夜は四時まで飲んで騒いでいた。

 知によると、俺たちが行く前日に来て描いたのだといっていたが、どうも怪しい。

 二日目にまだデッサンを描いていたところから見ても、俺はあの絵は大部分想像で描かれているんじゃないかと睨んでいる。

 知ならやりかねないことだ。


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