さうす・りばてぃー
 それにしても、相変わらずカップルが多い。

 普段は校内での行動を控えている学内カップルも、この日だけは事実上公認ということで、ところ構わずイチャイチャしている。

 ――――となれば、当然それを冷やかす目的の者というのも存在するわけで。

 ニコニコ顔で、俺に話しかけてくる星空がいた。

「祐介―、穂波とまわらなくていいのー?」

 来たよ、冷やかし目的その1。

「うるせい」

 適当に追っ払う。

「あっ、つれないなあ。人がせっかく心配してあげてるのに」

「そういうのを、世間では余計なお世話というんだ」

 本当は俺も冷やかし返したいところなのだが、達也が休んでいるのでできない。

 俺は逃げるように、星空から遠ざかった。

 そして俺はその2――仁科見由という別名もある――が冷やかしに来る前に、校舎の外に出た。

 料理部が屋台を作って、食べ物を販売している。

 そのほとんどがお菓子で、俺も女性に混じって一つ買ってみた。

 チョコクレープみたいなやつで、なかなかうまかった。
 
 その刹那、ふと陸上部の展示を見つけた。

 少し離れたところから、校舎の壁に貼られた展示を見てみる。

 陸上部は、抽選に負けた結果、外での展示を余儀なくされていた。

 この時期の外は結構寒いので、人もなかなか集まりにくい。

 陸上部の人たちだけが、ウィンドブレーカーを羽織ながら、その展示の周りを囲んでいる。

 かわいそうに、と思って眺めていると、その中にいた穂波と目が合った。

 穂波は陸上部仕様の青いウィンドブレーカーを着用している。

 下は体育で使うジャージだ。

「あっ、ゆうくーん!」

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