さうす・りばてぃー
 この娘が運動神経抜群なのは、前からのことだ。

 運動神経だけじゃない、他のことも、何をやらせても優れている彼女だった。

 ただ惜しむらくは、例のことが災いして、球技などの複雑な競技ができないことか。

 しかしそれでも、陸上であれだけの記録を残せるなら、充分だと思う。
 
 待てよ、と俺は考えた。確かに知は天才だが、穂波もそれに負けないくらい天才なのではないだろうか。

 二人だけじゃない、達也もこないだ一年生ながらラグビー部でレギュラーになったといってたし、星空もすでに試合に出させてもらっているとかいう話だ。

 見由もさっきの詩を見る限り才能はありそうだ。

 来夢さんも、料理の腕ではそんじょそこらのコックには負けないくらいだ。

 ――――そうすると、何か? 俺一人だけ凡人?

 …………。

 …………。

 …………フッ。

 真の天才は、世間には理解されないものさ。

 俺は劣等感にさいなまれながら、教室へと戻った。

 希望祭は、こんな風にして終わった。

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