さうす・りばてぃー
 希望祭の次の週。テストが返却された。

 見由が15位から12位へと順位を上げたほかは、とりたてて大きな変動はなかった。

 知は相変わらず1位だったし、そのほかは全員ランク外だった。

 一度くらい、間違いでもいいから俺の名前も張り出されて欲しい。

 そんなことを言うと、口の悪い星空はこう言う。

「犯罪でもして退学になれば、掲示板にでかでかと載ると思うよ」

 ――――そういう意味で載ってどうする。

 そして、大過なく、秋が過ぎていく。

 気づくと、12月になっていた。いつのまにか、もう冬である。

 今月はクリスマスというビッグイベントがある。

 1パーセントの奇跡は起こりそうもなく、俺はどうやら、今年のクリスマスも彼女なしで迎えることになりそうだった。

 そして、例のクリスマスパーティーの参加者も、徐々に決まりつつあった。

 まず、俺と見由は無条件で参加。

 穂波も参加すると言っている。

 穂波に参加するかどうかを聞いたとき、その返事は「うん、いいよ」で、簡単に了承された。

 その返事を聞いたとき、なぜだか俺はほっとしたような気持ちになった気がしたが、気のせいだということにしておく。

 一方、来夢さんには、やんわりと断られた。

 特に理由は聞かなかったが、例の彼氏と一緒にいるのだろう。

 それも当たり前で、普通クリスマスパーティーというのはクリスマスの前の週とかにやるものだが、俺たちはまさしくクリスマスイブ当日にやるのだ。

 恋人のいる人は、参加できなくて当たり前である。

 ちなみに、俺は世間の軟弱なクリスマスパーティーと区別するために、俺たちのパーティーのことを「真・クリスマスパーティー」と呼んでいる。

 別に俺たちが間違っているわけじゃない。

 世間の人は正月を12月のうちに祝ったりするか?

 ひな祭りを一週前に繰り上げたりするか?

 バレンタインデーはプレゼントを前もって贈っておくものなのか?

 ――――クリスマスだけ違う日にパーティーをやる道理がどこにある。


< 156 / 194 >

この作品をシェア

pagetop